ネイティブアプリとは、組織のデータプラットフォーム内でネイティブに実行されるアプリケーションです。この言葉は、顧客データとアプリケーションコードの間の垣根を取り払うことでアプリケーションの開発と展開の方法に大きな変化が起こったことを表しています。ネイティブアプリは、ソフトウェアプロバイダーとその顧客に新たな機会をもたらします。本稿では、ネイティブアプリのコンセプトについて説明し、コネクテッドアプリとの違いを示します。また、Snowflakeネイティブアプリがもたらす独自のメリットについてもご紹介します。
ネイティブアプリとは
ネイティブアプリとは、企業のクラウドプラットフォーム上でネイティブに構築、配布、展開されるアプリのことです。このアプリケーション展開モデルは、従来型のアプリ開発・展開方法と大きく異なります。従来のアプリケーション開発では、アプリケーションコードの開発だけでなく、そのアプリで利用される顧客データに適切なセキュリティを施すことも、開発者の責任でした。開発者はアプリプロバイダー自身のデータプラットフォーム内に顧客のデータを取り込み、処理します。
一方ネイティブアプリは、アプリケーションコードを顧客のデータに直接持ち込むという点が異なります。たとえば、Snowflakeネイティブアプリフレームワークでは、開発者はアプリケーションをSnowflake内で構築し、データクラウド内に保存された顧客データにそれを直接展開します。
SNOWFLAKEネイティブアプリとコネクテッドアプリの比較
Snowflakeネイティブアプリとコネクテッドアプリには多くの共通点があります。どちらも、顧客データをソフトウェアプロバイダーのマネージドプラットフォームに読み込む代わりに、顧客データの存在する場所で顧客データにアクセスします。Snowflakeネイティブアプリとコネクテッドアプリでは、顧客のデータが顧客の直接的なコントロールが及ぶ範囲に留まるため、データセキュリティに関する潜在的な懸念が軽減され、アプリプロバイダーが顧客のデータを自社プラットフォームに保存する必要はありません。ただしこの2つには重要な違いがあります。
コネクテッドアプリケーションでは、ソフトウェアプロバイダーがデータを自社のマネージドデータプラットフォームに読み込むのではなく、顧客のデータプラットフォームに接続します。Snowflakeネイティブアプリはコネクテッドアプリケーションをさらに進化させており、プロバイダーは自社のアプリケーションコードを顧客のデータに持ち込むことができます。アプリケーションはデータプラットフォーム内で構築され、そこに常駐するため、数回クリックするだけでSnowflakeネイティブアプリを顧客のアカウント内に展開できます。
SNOWFLAKEネイティブアプリのプロバイダーにとってのメリット
データプラットフォーム内でネイティブにアプリケーションを構築、配布、展開することにより、アプリプロバイダーは迅速に価値を顧客に提供できます。Snowflakeネイティブアプリを構築することによる重要なメリットとして、以下のものがあります。
開発サイクルの短縮
Snowflakeネイティブアプリフレームワークを使用すると、開発者はデータクラウド内で直接アプリケーションを構築、販売、展開できます。UDFやストアドプロシージャなど、Snowflakeのコア機能をすべて活用できます。さらに、Snowflakeのテレメトリーツールを使用すれば、開発後のアプリケーションの監視とサポートも簡単です。
インフラストラクチャ管理の負担軽減
Snowflakeネイティブアプリはデータプラットフォームインフラストラクチャ上で構築されるため、アプリケーションプロバイダーはビルトイン機能のメリットを活用できます。Snowflakeの場合、このメリットには、オールウェイズオンの可用性、グローバルコラボレーション、プラットフォーム内収益化、ビルトインのガバナンスとセキュリティなどがあります。インフラストラクチャの構築と管理から解放されたプロバイダーは、パワフルで質の高いアプリケーションをより迅速に構築することに全力を注げるようになります。
機密データの管理が不要
Snowflakeネイティブアプリは、顧客のデータプラットフォームアカウントに直接読み取りと書き込みを行います。この機能により、顧客の機密データをプラットフォームの外へ移動させる必要がなくなるため、プロバイダーは顧客データを管理してセキュリティを確保する作業から解放されます。また、プラットフォームのセキュリティとガバナンスのコントロールによってデータが確実に保護されます。
利益率の向上
従来のアプリケーションでは、アプリに関連するストレージとコンピュートのコストをプロバイダーが支払います。一方、Snowflakeネイティブアプリは顧客のアカウント内のコンピュートを使用するため、プロバイダーはコンピュートコストを削減して利益率を高めることができます。
広範な顧客基盤へのアクセス
Snowflakeネイティブアプリ開発者は、Snowflakeマーケットプレイスに直接アクセスします。ここでSnowflakeのお客様は革新的なビジネスソリューションの強化に必要なデータやアプリケーションを見つけ、試してから購入できます。このマーケットプレイスは、製品を配布して収益化し、顧客のSnowflakeアカウント内に直接展開する貴重な機会を開発者に提供しています。
SNOWFLAKEネイティブアプリの顧客にとってのメリット
Snowflakeネイティブアプリで、顧客は自社の機密データに対するコントロールを維持し、データのセキュリティとガバナンスを改善できます。
データサイロの解消
データを移動させたりアプリプロバイダーと共有したりする必要がなくなるため、顧客はデータサイロを解消して、複数のアプリケーション間でデータが断片化することを回避できます。さらに、ロールベースのアクセス制御(RBAC)を使用して外部アクセスやログ共有などのきめ細かい権限をアプリケーションに直接付与することにより、顧客はアプリが自社のアカウント内で実行できることを自由にコントロールできます。
データセキュリティとガバナンスの強化
Snowflakeネイティブアプリにより、顧客はプロバイダーのプラットフォーム上で自社の機密データが適切に保護されているかどうかを懸念することなく、革新的で強力なアプリを活用できます。Snowflakeネイティブアプリでは、顧客データがデータプラットフォームの外に持ち出されることはありません。顧客データはプラットフォームのクラウドセキュリティテクノロジーとネイティブガバナンスによって保護されます。
アプリの迅速な発見とインストール
Snowflakeユーザーにとってのメリットはもうひとつあります。マーケットプレイスで、Snowflakeのお客様は簡単にアプリケーションを発見し、インストールして料金を支払うことができるため、調達プロセスが数か月から数分に短縮されます。
SNOWFLAKEネイティブアプリフレームワークによるSNOWFLAKEネイティブアプリの構築
Snowflakeネイティブアプリフレームワークは、データクラウドでアプリをネイティブに構築、配布、使用するシームレスな方法を提供することで、プロバイダーと顧客が未来に足を踏み出せるようにします。Snowflakeマーケットプレイスを拡大して、データクラウドでネイティブに実行されるアプリを追加することにより、顧客はわずか数クリックでアプリケーションを発見してインストールし、自社データからより多くの情報を迅速に取得できるようになります。Snowflakeで直接アプリケーションを使用すると、セキュリティとガバナンスが向上するため、プロバイダーとその顧客はインフラストラクチャの管理に時間をかける必要がなくなります。代わりに、価値実現までの時間を短縮して主要な事業目標の達成に役立つタスクに重点を移すことができます。